BESTは、建築と設備システムの相互影響を考慮する連成計算により、エネルギー消費量と室内環境をシミュレーションできるツールです。国交省、大学、民間企業が連携するプロジェクトとして、開発が始まり、現在、専門版、設計ツール、省エネ法誘導基準対応ツール、住宅版が公開されています。
郡は、建築熱計算法、建築・設備システムとの連成計算法を提案し、建築エンジンの開発を担当しました。また、郡研究室では、BESTを利用した数値解析を数多く行い、新しい知見の発表とともに、ツールの検証や有用性確認も行ってきました。これらの研究成果は、空気調和・衛生工学会技術賞(2016年)、日本建築学会賞(技術)(2017年)、文部科学大臣表彰科学技術賞(2018年)を受賞しました。
【専門版】
設計用最大熱負荷計算、年間熱負荷計算から、設備システムの年間エネルギー消費量計算まで、同一ツールで一貫処理できます。詳細なエネルギー解析や環境評価が可能です。
利用するには、BESTコンソーシアムに入会する必要があります。
http://www.ibec.or.jp/best/index.html
【省エネ設計用ツール】
エンジンは専門版と同一で、ユーザーインターフェースのみを省エネ法誘導基準申請用あるいは省エネ設計用に変えたツールです。
http://www.ibec.or.jp/best/eco/index.html
【関連する主な研究論文】
(計算法に関する論文)
・郡公子、石野久彌、長井達夫、村上周三:建築総合エネルギーシミュレーションツールBESTのための建築シミュレーション法に関する研究、空気調和・衛生工学会論文集、No.162、pp.9-15、2010.9
・郡公子、石野久彌、長井達夫、村上周三:建築総合エネルギーシミュレーションツールBESTにおける設計用最大熱負荷計算法に関する研究、空気調和・衛生工学会論文集、No.164、pp. 19-26、2010.11
・郡公子、石野久彌、長井達夫、村上周三:建築・設備の連成シミュレーション、日本建築学会環境工学委員会第39回熱シンポジウム、pp.63-70、2009.10
・郡公子:The BEST Program 建物側のシミュレーション法、空気調和・衛生工学、Vol.82、No.11、pp.31-36、2008.11
(数値解析論文)
・郡公子、石野久彌、清水達也:躯体蓄熱空調の運転特性の基本的解析、IBPSA-Japan論文集/2010、pp.25-32、2010.12
・郡公子、石野久彌、神山隼人:PMV制御を行うオフィスの室内熱環境の特性解析、IBPSA-Japan論文集/2010、pp.9-16、2010.12
・村上周三、石野久彌、郡公子他:BESTによるシミュレーション最前線(その1)、pp.22-31、建築設備士、2009.9